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フランスで「六法」の一つは森林法典(1827年)だった! [文献調査]

 ご存じでしたか?以下、常日頃お世話になっている法学部の交告尚史先生からご教示いただいた内容をもとに、少し付け加えたものです。

 一般に、「六法全書」というときの六法というのは、ナポレオン時代のフランスでできた5法典(民法典(1804年)、民事訴訟法典(1806年)、商法典(1807年)、治罪法典(1808年)、刑法典(1810年))に<憲法>を加えて、明治時代に翻訳されたものがその源流だとされてきました。

 さて、法学関係の洋書の販売を手がけている國際書房という書店のカタログの No.033(471):Sep.2015 www.kokusaishobo.co.jp/portal/wp-content/uploads/2015/08/LB033.pdf に名古屋大学大学院法学研究科教授の石井三記先生が「『六法』の源流を求めて」というエッセー(上記リンクの一番最後の頁をご覧下さい)をお書きになっています。

 石井先生によると、1811年にフランスで『五法典』という書物が出ている。まだ「六法」という名前ではない。では六つめの法典codeは何だったのか。それが森林法典(1827年)だったというのです。実際、翌1828年に、『六法典』という書物が上梓され、上記の五法典に加えて、森林法典が収録されていたというのです!!

 石井先生の言及されている1828年の『六法典』という書物がどんな内容だったのか、ネットで調べてみると、ヴァーモント大学のマーシュ資料室カタログ University of Vermont Catalogue of the Library of George Perkins Marsh のなかに、それらしき本の目次が見つかりました。

University of Vermont Catalogue of the Library of George Perkins Marsh.jpg

 たしかに「森林法典 code forestier」がありました(朱線部分)。驚きです。

 フランスの森林法典は、近代的土地所有権が確立した後にできた森林関係の法令としては、世界最古のものであると言われています。遡って、ルイ14世時代に作られた林野王令(17世紀)も、フランス絶対王政下でかなり重要な位置を占めていたことが知られています。

 それにしても「六法」に森林法典が入っていたとは、今回、交告先生のご教示で初めて知りました。

 数百年の歴史のなかで森林・林野・林産物が果たしてきた役割の大いさと、これらをめぐる権利関係の重みやうつりかわりに思いをめぐらせてみると、林政という分野のおもしろさが実感できるかもしれません。教員の私にとっても、まだまだ知らない世界がたくさんあるのです。(文責:古井戸)

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