事業仕分け<森林整備への支援> [その他]
小川%修士2年です。
本日は、林野庁関係で事業仕分けがあったので、市ヶ谷に行ってきました。
(あの有名な蓮紡議員がいるワーキンググループでした、ちょっと覗きに来た鳩山首相にも会えました)
1330~1440くらいまでの、「森林整備への支援」を傍聴してきました。
具体的な事業は「集約化等困難森林緊急整備事業」「間伐作業道公的整備モデル事業」
「低コスト造林促進特別対策事業」「集約化等経営支援対策事業」「持続的林業経営確立対策事業」
の5つが仕分けの対象となりました。すべて所謂モデル事業で、総額で99億9千万円の事業です。
事業仕分けで主に争点となったのは、
①モデル事業を行う意義はあるのか?
②県への基金への積み立ても含めて、1238億4400万円の21補正予算がある。
交付される要件は異なるが、対象となる行為・施設は重複するものが多いのではないか?
の2つであったかと思います。
①モデル事業について
今回のモデル事業は、主に 林道から200m以上離れた条件不利地での集約化を行うためのものである。
今まで様々なモデル事業を通して、実証データを集めてきたのに、まだモデル事業を行う必要があるのか。
モデル事業ではなく、全国的に展開できる「公共事業」として 行っていく段階にあるのではないのか。
(この議論の背景には、【集約化】や林業助成に関して従来から繰り返し同じ問題点が指摘されているのにいまさら、モデル事業をやる必要があるのかという仕分け人の意識がある)
②21補正予算との重複に関して
林野庁は21補正予算との違いに関して、「条件不利地にての集約化」に絞って事業を行う点を強調した。
それに対して仕分け人は、21補正予算の枠組みでも「条件不利地」での事業は可能であるし、本事業が21補正よりも、より条件不利地にてインセンティブを持っていないのではないかと指摘していた。
この2点により、<森林整備への支援>は、予算縮減3、凍結4、廃止5 にて廃止という結論となったかなと思っています。(数は間違っているかも。。。)
■以下は私 小川の個人的な感想■
今回の事業仕分けの場を実際に見て、現場の熱気を感じることが出来たのはいい経験だったと思っています。
老若男女 幅広い年代・様々な人々が聞きに来ていて、今回の試みに対する関心の高さが伺えます。
さて、<森林整備への支援>の事業仕分けに関して思ったこと。
・コスト論・効率化や独立行政法人の問題ばかりが俎上に上るかと考えていましたが、思ったより、事業自体のロードマップや展望に関する質問・議論を行っていた。
特に、事業の必要性の切り口として「林業振興」「地球温暖化」のどちらも 林野庁が挙げていたことに対して、蓮舫議員が必要性が曖昧となってしまっていると言ったことに関して、私自身もフワフワした感じを常に林野庁の姿勢に感じていたので同感であった。
・林野庁がやろうとしていることの必要性は理念的には、仕分け人の方も理解されていたと思う。
しかし、限られた財政の中で、21年補正を有効に柔軟に活用しろというのが 今回の結論の意味であろう。
・モデル事業というものの考え方に関しては、一部の仕分け人の方とは少し違う考えを私自身は持っている。
モデル事業は、確かに全国に「成功事例」を広めて、実際にそれをきちんと各地で行うことが出来るかを確認し、行うためにどのような形で制度設計をした方がいいのか、考えるための仕組みであるという。
しかし、林業と言う自然を扱う産業としての性質上、全国一律的な政策や制度設計自体に限界があるのではないか。
そういう意味では、(道州という単位なのか流域という単位なのかは分からないが)ある程度の地域のまとまりの中で、それぞれモデル事業を行って、その地域での林業システムを作っていく必要があるのではないだろうか。(それが柱材生産を中心としたシステムになるとは限らない)
・仕分け人は「集約化」を支持する人が多かった。その必要性は認めつつ、今回の結論を出した形であった。
しかし、本当に「集約化」の先にバラ色の林業が待っているのだろうか?これからも、考えていきたい。
・森林組合に関する議論もあった。一人の仕分け人の方が事業主体でかつ、事業発注・受注を行う可能性があることを指摘して、問題があるのではないかと言っていたが
それ以外の方は、森林組合が、集約化を行うための担い手として、重要であることは認めれていた。
本当に、そうなのだろうか? 森林組合のあるべき姿と現実とのギャップを埋めるのに林野庁からの委託や公共事業を行っていくことで解決が図れるのだろうか?
森林組合の展望に関して、何かしら意見を持てるようにしたいです。
長くなってしまいました…。。。
ではでは、また。
本日は、林野庁関係で事業仕分けがあったので、市ヶ谷に行ってきました。
(あの有名な蓮紡議員がいるワーキンググループでした、ちょっと覗きに来た鳩山首相にも会えました)
1330~1440くらいまでの、「森林整備への支援」を傍聴してきました。
具体的な事業は「集約化等困難森林緊急整備事業」「間伐作業道公的整備モデル事業」
「低コスト造林促進特別対策事業」「集約化等経営支援対策事業」「持続的林業経営確立対策事業」
の5つが仕分けの対象となりました。すべて所謂モデル事業で、総額で99億9千万円の事業です。
事業仕分けで主に争点となったのは、
①モデル事業を行う意義はあるのか?
②県への基金への積み立ても含めて、1238億4400万円の21補正予算がある。
交付される要件は異なるが、対象となる行為・施設は重複するものが多いのではないか?
の2つであったかと思います。
①モデル事業について
今回のモデル事業は、主に 林道から200m以上離れた条件不利地での集約化を行うためのものである。
今まで様々なモデル事業を通して、実証データを集めてきたのに、まだモデル事業を行う必要があるのか。
モデル事業ではなく、全国的に展開できる「公共事業」として 行っていく段階にあるのではないのか。
(この議論の背景には、【集約化】や林業助成に関して従来から繰り返し同じ問題点が指摘されているのにいまさら、モデル事業をやる必要があるのかという仕分け人の意識がある)
②21補正予算との重複に関して
林野庁は21補正予算との違いに関して、「条件不利地にての集約化」に絞って事業を行う点を強調した。
それに対して仕分け人は、21補正予算の枠組みでも「条件不利地」での事業は可能であるし、本事業が21補正よりも、より条件不利地にてインセンティブを持っていないのではないかと指摘していた。
この2点により、<森林整備への支援>は、予算縮減3、凍結4、廃止5 にて廃止という結論となったかなと思っています。(数は間違っているかも。。。)
■以下は私 小川の個人的な感想■
今回の事業仕分けの場を実際に見て、現場の熱気を感じることが出来たのはいい経験だったと思っています。
老若男女 幅広い年代・様々な人々が聞きに来ていて、今回の試みに対する関心の高さが伺えます。
さて、<森林整備への支援>の事業仕分けに関して思ったこと。
・コスト論・効率化や独立行政法人の問題ばかりが俎上に上るかと考えていましたが、思ったより、事業自体のロードマップや展望に関する質問・議論を行っていた。
特に、事業の必要性の切り口として「林業振興」「地球温暖化」のどちらも 林野庁が挙げていたことに対して、蓮舫議員が必要性が曖昧となってしまっていると言ったことに関して、私自身もフワフワした感じを常に林野庁の姿勢に感じていたので同感であった。
・林野庁がやろうとしていることの必要性は理念的には、仕分け人の方も理解されていたと思う。
しかし、限られた財政の中で、21年補正を有効に柔軟に活用しろというのが 今回の結論の意味であろう。
・モデル事業というものの考え方に関しては、一部の仕分け人の方とは少し違う考えを私自身は持っている。
モデル事業は、確かに全国に「成功事例」を広めて、実際にそれをきちんと各地で行うことが出来るかを確認し、行うためにどのような形で制度設計をした方がいいのか、考えるための仕組みであるという。
しかし、林業と言う自然を扱う産業としての性質上、全国一律的な政策や制度設計自体に限界があるのではないか。
そういう意味では、(道州という単位なのか流域という単位なのかは分からないが)ある程度の地域のまとまりの中で、それぞれモデル事業を行って、その地域での林業システムを作っていく必要があるのではないだろうか。(それが柱材生産を中心としたシステムになるとは限らない)
・仕分け人は「集約化」を支持する人が多かった。その必要性は認めつつ、今回の結論を出した形であった。
しかし、本当に「集約化」の先にバラ色の林業が待っているのだろうか?これからも、考えていきたい。
・森林組合に関する議論もあった。一人の仕分け人の方が事業主体でかつ、事業発注・受注を行う可能性があることを指摘して、問題があるのではないかと言っていたが
それ以外の方は、森林組合が、集約化を行うための担い手として、重要であることは認めれていた。
本当に、そうなのだろうか? 森林組合のあるべき姿と現実とのギャップを埋めるのに林野庁からの委託や公共事業を行っていくことで解決が図れるのだろうか?
森林組合の展望に関して、何かしら意見を持てるようにしたいです。
長くなってしまいました…。。。
ではでは、また。
2009-11-24 18:25
コメント(2)
トラックバック(0)
私は、林業をしています。森林の集約化の話は少し聞いたことがあります。ですが、私たちみたいに小さな林業家には、とても無縁な話のようです。集約化には、維持管理費がとてもかかります。国・県などの補助金だけではとても無理だろうと思います。ちなみに今の情勢では、森林の維持管理は無理だろうと思います。
by きこり (2010-10-31 23:52)
きこりさん、コメントありがとうございます。
せっかく集約化したとしても、その木材を、スムーズに製材工場へと運び、製品に結びつけるシステムが日本では未発達なのではと思います。最近は大規模な製材工場も出てきていますけれども、一部の地域のことですから…。集約化するメリットが感じられるようでないとだめですね。政策もまずは川下から、木材需要から、と動いていますけれども、なかなか劇的には動かないように思います。
製材用の木材生産に限らず、日本に、各地域にあった林業の姿というものを、これからも勉強を続けて考えていきたいと思います。
by M2小松 (2010-11-05 13:55)