もりす君、久々 & 森林資源勘定の研究史 [研究室]
古井戸です。
柴崎茂光先生が「自分の研究を振り返る」と題してお書きになっているのをみて思い出したことがあります。
5年前にこのブログに登場したもりす君(わからない方は、右上の検索ボックスで「もりす」と入力してみてください)。
災害復興住宅についての面白い卒論を書いて、今は、同じ大学院農学生命科学研究科の井上雅文先生のご指導のもとで、博論執筆の真っ盛りです。
そのもりす君が、先日久々にプレハブB棟を訪れてくれました。
(その前にも来てくれておいしいお土産をいただいたりしていましたが、書かずにいてすみません)
もりす君は、現在、林産業の産業連関構造についての研究をしているとのことで、森林資源勘定との関係についてあらためて知りたいとのことでした。
そういえば、森林資源勘定の研究が始まったころの話をどこかに書いていたぞ。
https://doi.org/10.6012/jwei.30.28
こちらになります(『水資源・環境研究』30(2):28-29、2017年)。
文献検索では、古井戸が書いた「執筆事情」としか出てこないので何のことかわからないと思いますが、掲載誌の6号(1993年)に掲載された「自然資源勘定の研究動向」という論文
https://doi.org/10.6012/jwei.1993.19
を振り返ったもので、まだ過去を振り返るトシではないと思いつつ、この分野の研究史を記録に残しておこうと思って書いておいたのでした。もりす君の役に立てばよいのですが。
柴崎茂光先生が「自分の研究を振り返る」と題してお書きになっているのをみて思い出したことがあります。
5年前にこのブログに登場したもりす君(わからない方は、右上の検索ボックスで「もりす」と入力してみてください)。
災害復興住宅についての面白い卒論を書いて、今は、同じ大学院農学生命科学研究科の井上雅文先生のご指導のもとで、博論執筆の真っ盛りです。
そのもりす君が、先日久々にプレハブB棟を訪れてくれました。
(その前にも来てくれておいしいお土産をいただいたりしていましたが、書かずにいてすみません)
もりす君は、現在、林産業の産業連関構造についての研究をしているとのことで、森林資源勘定との関係についてあらためて知りたいとのことでした。
そういえば、森林資源勘定の研究が始まったころの話をどこかに書いていたぞ。
https://doi.org/10.6012/jwei.30.28
こちらになります(『水資源・環境研究』30(2):28-29、2017年)。
文献検索では、古井戸が書いた「執筆事情」としか出てこないので何のことかわからないと思いますが、掲載誌の6号(1993年)に掲載された「自然資源勘定の研究動向」という論文
https://doi.org/10.6012/jwei.1993.19
を振り返ったもので、まだ過去を振り返るトシではないと思いつつ、この分野の研究史を記録に残しておこうと思って書いておいたのでした。もりす君の役に立てばよいのですが。
2021-10-24 21:43
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「ランチセミナー」で話題提供 [研究会]
古井戸です。
もう2週間ほど前になってしまいますが、
「19世紀後半以降における山岳地域林政の展開-フランスの『水と森林』Eaux et Forêts を中心に-」
Evolution of forest policy in the mountainous regions since the latter half of 19th century
と題して、農学部(大学院農学生命科学研究科)に所属する教員同士の研究を紹介し合う「ランチセミナー」(オンライン)で15分ほど話題提供をしました。
マーフィーの法則(ご存じでしょうか)さながらに、普段起こらないパワポのトラブルがあって、時間を超過するという大ミスをやってしまったのですが、閑話休題。
最初に研究室紹介を、ということで、
こんなスライドを作りました。数秒しか画面投影しなかったので、参加いただいた方にもたぶんお読みいただく時間はなかったでしょう。あらためてご紹介するしだいです。
筋立てとしては、フランスを中心に、19世紀末の山地復旧造林RTMの今日的評価をたどることから、殆どの森林が「山」にある日本の林政への示唆を得たいというところでしたが、十分お伝えできたかどうかはわかりません(のでここに書いておきます)。
あとは、時間の関係で投影すらできなかった参考文献リストをここにご紹介しておきます。
ページ数のない文献は、目下、プレハブ仮住まいのため段ボールのどこかに眠っているものだったりします。
若干補足しておきますと、赤池氏は、現在、「農学共同研究員」になっていただいています。コロナ禍と研究室引越の関係でなかなかお会いできないのが残念です。
アンドレアッシアン Andréassian(2001)は、その二年後の2003年に、国際英文誌 J. Hydrologyに掲載された論文で知られています。その論文の下地をこのフランス国内の研究会で報告しているのですが、なぜわざわざ無名のフランス語報告を引用しているかというと、こちらでは、フランス語 Eaux et Forêts(直訳すると「水と森林」)の意味について論じた大変興味深い一節があり、これが英文誌への投稿ではバッサリ割愛されているからです。今のフランス人でもなぜこういう言い方があるかについては、あまり共通理解がなく、それゆえ、フランス国内での研究会でアンドレアッシアンは報告する必要があったのでした。国際誌にはこの部分を投稿しても意味がないと考えたのでしょう。
現地のことを勉強しようと思ったら現地語で書かれたものを読まなければ本当のところはわからない、という当たり前のことを、今回あらためて痛感した次第です。
これから学問を志す方々のために急いで付け加えておくと、別にnativeレベルで現地語に精通している必要はなく(その方が良いに決まっていますが)、重要な概念が理解できる程度に読めればよいのです。勇気を持って書物に触れ、読んで、現地に行って話を聞いて、森を見て、確認しながら、理解していきましょう。国内で聞き取り調査をするときも同じで、その地方の歴史・地理や文化、方言などは知っていると知らないとでは大違いです。このへんは柴崎先生や芳賀先生がそのうち書いて下さるかもしれません。
<ランチセミナーで引用した文献の一覧>
もう2週間ほど前になってしまいますが、
「19世紀後半以降における山岳地域林政の展開-フランスの『水と森林』Eaux et Forêts を中心に-」
Evolution of forest policy in the mountainous regions since the latter half of 19th century
と題して、農学部(大学院農学生命科学研究科)に所属する教員同士の研究を紹介し合う「ランチセミナー」(オンライン)で15分ほど話題提供をしました。
マーフィーの法則(ご存じでしょうか)さながらに、普段起こらないパワポのトラブルがあって、時間を超過するという大ミスをやってしまったのですが、閑話休題。
最初に研究室紹介を、ということで、
こんなスライドを作りました。数秒しか画面投影しなかったので、参加いただいた方にもたぶんお読みいただく時間はなかったでしょう。あらためてご紹介するしだいです。
筋立てとしては、フランスを中心に、19世紀末の山地復旧造林RTMの今日的評価をたどることから、殆どの森林が「山」にある日本の林政への示唆を得たいというところでしたが、十分お伝えできたかどうかはわかりません(のでここに書いておきます)。
あとは、時間の関係で投影すらできなかった参考文献リストをここにご紹介しておきます。
ページ数のない文献は、目下、プレハブ仮住まいのため段ボールのどこかに眠っているものだったりします。
若干補足しておきますと、赤池氏は、現在、「農学共同研究員」になっていただいています。コロナ禍と研究室引越の関係でなかなかお会いできないのが残念です。
アンドレアッシアン Andréassian(2001)は、その二年後の2003年に、国際英文誌 J. Hydrologyに掲載された論文で知られています。その論文の下地をこのフランス国内の研究会で報告しているのですが、なぜわざわざ無名のフランス語報告を引用しているかというと、こちらでは、フランス語 Eaux et Forêts(直訳すると「水と森林」)の意味について論じた大変興味深い一節があり、これが英文誌への投稿ではバッサリ割愛されているからです。今のフランス人でもなぜこういう言い方があるかについては、あまり共通理解がなく、それゆえ、フランス国内での研究会でアンドレアッシアンは報告する必要があったのでした。国際誌にはこの部分を投稿しても意味がないと考えたのでしょう。
現地のことを勉強しようと思ったら現地語で書かれたものを読まなければ本当のところはわからない、という当たり前のことを、今回あらためて痛感した次第です。
これから学問を志す方々のために急いで付け加えておくと、別にnativeレベルで現地語に精通している必要はなく(その方が良いに決まっていますが)、重要な概念が理解できる程度に読めればよいのです。勇気を持って書物に触れ、読んで、現地に行って話を聞いて、森を見て、確認しながら、理解していきましょう。国内で聞き取り調査をするときも同じで、その地方の歴史・地理や文化、方言などは知っていると知らないとでは大違いです。このへんは柴崎先生や芳賀先生がそのうち書いて下さるかもしれません。
<ランチセミナーで引用した文献の一覧>
- 赤池慎吾(2012)『17~19世紀における青森県津軽地方の「従来保安林」の変遷過程』東京大学博士学位論文
- A.Andréassian : Histoire Conjointe des Eaux et des Forêts, in Forêts et eau: 168eme session du Comité Scientifique et Technique. Nancy, 26 au 28 sept 2001
- Brun, F.(2002)Multifunctionality of mountain forests and economic evaluation. Forest Policy and Economics 4 : 101-112
- 古井戸宏通(2007)フランス林政における『水と森林』の史的展開序説. 水資源・環境研究 20: 73-86
- 古井戸宏通(2010)「フランス」、白石則彦編著『世界の林業-欧米諸国の私有林経営-』(日本林業調査会)~第3章
- 古井戸宏通(2015)「自然災害リスク管理と保安林制度のあり方―オーストリア・チロル州の保安林改良事業と野渓監護事業を中心に―」宇澤弘文・関良基編著『社会的共通資本としての森』(東京大学出版会)~第9章
- 伊丹一浩(2020)山岳地の植林と牧野の具体性剥奪, 御茶の水書房, 420pp.
- 北林寿信(1998)フランス山地政策の胎動, レファレンス
- 是永東彦(1998)フランス山間地農業の新展開. 農文協
- Ladier, J. et al(2012)Guide des Sylvicultures de Montagne Alpes du Sud françaises, ONF-Instea, 301pp.
- Meza,A.et al(2004) Critères et Indicateurs pour la gestion durable des forêts : le cas des forêts de montagne. rff 56(5): 395-405
- 佐々木恵彦編著(2007)森林科学.文永堂
- 薗部一郎(1928) 無林地の造林-各国の事例. 砂防 1: 3-6ß
- 徳川林政史研究所編(2015) 森林の江戸学II、223pp.(芳賀和樹)
- 山越隆雄(2006)フランスにおけるRTM(山地修復)事業の歴史. 砂防と治水 39(3):97-101
- Villeneuve, A. et al(2002) Les montagne et droit – tendances émergentes. FAO étude législative 75, 97pp.
- Whited, T.L.(2000) Forest and peasant politics in modern France, Yale Univ. Press
2021-10-24 20:49
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