林政学研究室の蔵書を整理していたら・・・ [研究室]
林政学研究室の蔵書を整理していたら、本の中から「国公立大学費値上げ反対(1972(昭和47)年)」のチラシがでてきました。考えさせられる内容だったので、思わずブログに書いています。
前回学費が値上げされたのは1963(昭和38)年。当時は、年間9000円(!)だった学費が、12000円に値上げされたそうです。チラシが書かれた1972年においも、8年後(1980年)には学費が240,000円に値上げされる恐れがあることを警告しています。
また、「教育は一種の投資であるので受益者負担を求めてよい(授業料をあげてよい)」と考え、将来的に国公立大学の法人化の傾向を目指す、文部省の姿勢にも批判の目をむけています。
・・・50年後の現在、学費は更に上昇を続け、教育格差の問題はさらに深刻化しています。その後、国立大学の法人化が進みましたが、皮肉なことに日本の大学の国際競争力は減少傾向にあります。「公共財」としての教育を改めて考える必要性を、50年前のチラシは現役世代の私たちに訴えているのかもしれませんね。おっと、仕事に戻らねば。
前回学費が値上げされたのは1963(昭和38)年。当時は、年間9000円(!)だった学費が、12000円に値上げされたそうです。チラシが書かれた1972年においも、8年後(1980年)には学費が240,000円に値上げされる恐れがあることを警告しています。
また、「教育は一種の投資であるので受益者負担を求めてよい(授業料をあげてよい)」と考え、将来的に国公立大学の法人化の傾向を目指す、文部省の姿勢にも批判の目をむけています。
・・・50年後の現在、学費は更に上昇を続け、教育格差の問題はさらに深刻化しています。その後、国立大学の法人化が進みましたが、皮肉なことに日本の大学の国際競争力は減少傾向にあります。「公共財」としての教育を改めて考える必要性を、50年前のチラシは現役世代の私たちに訴えているのかもしれませんね。おっと、仕事に戻らねば。
林業経済学会70周年記念事業ー学会員対面談話会が開催されました
2023年台風2号の日本列島通過によって、愛知県や静岡県などを中心に大雨による浸水被害が発生しました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。被災された方々が一日も早く日常を取り戻されることを心から願っています。
関東地方は昼前まで大雨に見舞われましたが、正午過ぎからは、晴れ間もさす陽気になりました。2023年6月3日(土)14:30~16:30に、林業経済学会70周年記念事業の一環として、学会員対面の座談会が文京区シビックセンター4Fの和室で開催されました。
在来線の運休・遅延が続く状況でしたが、18名(スタッフを含む)の方々が駆けつけてくれました。関西地方の特別委員会スタッフ(田村さんと岩永さん)は、東海道新幹線の午前中の運休により、急遽ズームでの参加になり、いわゆるハイブリッド型の談話会になりました。
林政学研究室からは、芳賀和樹先生、髙梨一竹さん、柴崎(70周年記念事業特別委員会委員長)が参加しました。
今回の談話会は、70周年記念事業の柱の一つであるリサーチクエスチョン事業の一環として開催されました。具体的には、30年後を想定しながら、林業経済学会が今後取り組むべき研究テーマ(リサーチクエスチョン)を考えるためのアイディア(リサーチクエスチョンの原型)出しを行いました。
談話会では、参加者が車座になって自己紹介をした後で、3班に分かれて、取り組むべき研究テーマのアイディア出してもらい、その後、出てきた意見の構造化に取り組みました(いわゆるKJ法)。
30年後の山村に誰が暮らすようになるのか(高齢者?、若者?、移民?、)、記録を後世に伝えていく必要性(統計資料の拡充、映像など多様な記録)、AI技術との付き合い方など、様々な論点が浮かび上がってきました。面白かったなあ~:)
今後もこうした談話会(オンライン)が実施されます。さらにアンケート調査やワークショップなども行う予定になっています。学会員の皆様の引き続きのご支援、どうかよろしくお願いします。
台風2号の影響により、運休・遅延が依然続く中で、会場まで駆けつけてくださった、参加者の皆様に心から感謝申し上げます。引き続きのご支援、よろしくお願いします。
明治期から昭和20年までの卒論整理-クリーニング- [文献調査]
東京大学林政学研究室が所蔵している卒業論文の保全作業ですが、年代順の整理が終わると、次にクリーニング作業に移ります。明治期の卒論は、一世紀以上の埃がたまっています(埃のC14などから年代測定が出来たりして・・・汗)。
明治期の論文はいずれも和紙を綴じた冊子体で、かつ毛筆で丁寧に書かれ、論文ごとに箱に収蔵されています。今の卒論よりも丁重な取り扱いがされているかもしれませんね。
刷毛を使って、本体や箱の埃を静かに掃きとっていきます。箱の底にたまったほこりはなかなか完全には取れません。マイクロファイバークロスを棒に巻き付けて、箱の中の埃をとっていくことになります。
地道ですが、大切な作業になります。作業を手伝ってくれている王さん、梶本さん、平山さん、ありがとう:)
林政学研究室の宝について(第二弾)
1890(明治23)年に帝国大学農科大学林学科の第三講座として誕生したのが東京大学林政学研究室です。すでに130年が経過し、膨大な林政・林業資料が収蔵されています。登録済みの資料はもちろんですが、未登録の資料も数多く残されています。一部の資料は「林政文庫」として、資料の保全およびデジタルアーカイブ化が進んでいますが、研究室が所蔵する資料の中のごく一部にすぎません。
参考:https://fpac1.lib.a.u-tokyo.ac.jp/FPA/docs/index.html
2023年度より、国土緑化推進機構の助成を受けながら、これまで手をつけることができなかった林政・林業資料の保全を進めることになりました。まず、研究室に残る明治期から昭和20年までの卒業研究のクリーニングやデータベース化を進めています。まずは、明治20年代の卒論から昭和20年代の卒論を、時代順に並べる作業から開始しました。廊下にブルーシートや気泡緩衝材(いわゆるプチプチシート)を敷き詰めながら、年代順・五十音順に卒論を、折り畳みコンテナに収納していきます。
写真:年代順・五十音順に整頓している様子
年代順・五十音順にコンテナに収納された卒論については、コンテナ単位で写真撮影を行います。こうした写真をもとに、データベースの構築のための打ち込み作業も行うことになります。著者名、年代、卒論タイトル、保存状態などを一つ一つ記録していくことになります。
歴史的な資料は残っているだけも価値がありますが、死蔵化されると消失・廃棄等のリスクが高まります。林政学研究室に残る膨大な資料。研究室に唯一現存する資料が数多くあります。
研究室所蔵の林政・林業資料は、人材(OG/OB)に続く、第二の宝ですね。
参考:https://fpac1.lib.a.u-tokyo.ac.jp/FPA/docs/index.html
2023年度より、国土緑化推進機構の助成を受けながら、これまで手をつけることができなかった林政・林業資料の保全を進めることになりました。まず、研究室に残る明治期から昭和20年までの卒業研究のクリーニングやデータベース化を進めています。まずは、明治20年代の卒論から昭和20年代の卒論を、時代順に並べる作業から開始しました。廊下にブルーシートや気泡緩衝材(いわゆるプチプチシート)を敷き詰めながら、年代順・五十音順に卒論を、折り畳みコンテナに収納していきます。
写真:年代順・五十音順に整頓している様子
年代順・五十音順にコンテナに収納された卒論については、コンテナ単位で写真撮影を行います。こうした写真をもとに、データベースの構築のための打ち込み作業も行うことになります。著者名、年代、卒論タイトル、保存状態などを一つ一つ記録していくことになります。
歴史的な資料は残っているだけも価値がありますが、死蔵化されると消失・廃棄等のリスクが高まります。林政学研究室に残る膨大な資料。研究室に唯一現存する資料が数多くあります。
研究室所蔵の林政・林業資料は、人材(OG/OB)に続く、第二の宝ですね。
林政学研究室の宝について [OBOG]
研究室OGの飯塚潤子さんは、現在、檜原村の林業会社「株式会社東京チェンソーズ」の一員として活躍されています。研究室の新年会でお会いした際に、檜原村での調査について協力を依頼したところ、快諾していただきました。残雪の残る2月に、芳賀先生や学生の小竹さんと一緒に、同村を訪れ、東京チェンソーズの事業展開について、代表の青木さんや飯塚さんから、斬新で多角的な林業経営についてじっくりお話を伺うことができました。その他の数多くのキーパーソンも紹介していただきました。
研究室OBの泉孝太郎さんは、2022年3月に卒業して、中部電力パワーグリッドに勤務しています。学生時代は、コロナ禍の時期とちょうど重なり、講義やゼミがオンライン中心で、キャンパスで会うこと自体困難な状況が続きました。対面での交流が学生時代にできなかったにもかかわらず、卒業後研究室とのつながりを大切にしてくれています。研究室の新年会はもちろんのこと、GW期間中に、研究室での学部生・院生への就職相談にも快く応じ、さらに、素晴らしい食べ物・飲み物を後輩にごちそうしてくれました(笑)
林政学研究室には、飯塚さんや泉さんのように、気兼ねなく話ができ、かつ後輩思いのOG/OBが沢山います。卒業後も学生時代と変わらないOG/OBとのつながりこそが、林政学研究室の最も大切な宝だなあと実感する今日この頃です。
研究室OBの泉孝太郎さんは、2022年3月に卒業して、中部電力パワーグリッドに勤務しています。学生時代は、コロナ禍の時期とちょうど重なり、講義やゼミがオンライン中心で、キャンパスで会うこと自体困難な状況が続きました。対面での交流が学生時代にできなかったにもかかわらず、卒業後研究室とのつながりを大切にしてくれています。研究室の新年会はもちろんのこと、GW期間中に、研究室での学部生・院生への就職相談にも快く応じ、さらに、素晴らしい食べ物・飲み物を後輩にごちそうしてくれました(笑)
林政学研究室には、飯塚さんや泉さんのように、気兼ねなく話ができ、かつ後輩思いのOG/OBが沢山います。卒業後も学生時代と変わらないOG/OBとのつながりこそが、林政学研究室の最も大切な宝だなあと実感する今日この頃です。
新年の集いが開催されました [研究室]
新年早々のおめでたい話です [研究室]
2023年も始まりました。
本年もよろしくお願いします。
さて、新年早々おめでたいニュースがとびこんできました:)
林政学研究室の芳賀先生が、日本森林学会奨励賞を受賞されました:)
今年度の3月にオンラインで日本森林学会が開催されますので、
日本森林学会会員の皆さんは、ぜひご参加ください。
芳賀先生、おめでとうございます:)
今年は去年にもまして、いい年になりそうです:)
本年もよろしくお願いします。
さて、新年早々おめでたいニュースがとびこんできました:)
林政学研究室の芳賀先生が、日本森林学会奨励賞を受賞されました:)
今年度の3月にオンラインで日本森林学会が開催されますので、
日本森林学会会員の皆さんは、ぜひご参加ください。
芳賀先生、おめでとうございます:)
今年は去年にもまして、いい年になりそうです:)
森林政策学演習で徳川林政史研究所に伺いました! [講義]
2022年11月28日に、公益財団法人徳川黎明会 徳川林政史研究所を訪問させていただきました。
今回は特別にお時間をいただき、歴史資料所蔵の経緯や、歴史資料の保全方法、古文書・絵図を活用した研究の具体的な内容について、職員の方々からご説明をお伺いすることができました。
その後、尾張藩の森林利用に関する古文書・絵図も実際に拝見することができ、江戸時代における林野利用・規制の状況を、より深く学ぶことができました。
徳川林政史研究所の皆さんには大変お世話になりました。
ありがとうございました。 (h)
公益財団法人徳川黎明会 徳川林政史研究所Webサイトはこちらです。
https://rinseishi.tokugawa.or.jp/
今回は特別にお時間をいただき、歴史資料所蔵の経緯や、歴史資料の保全方法、古文書・絵図を活用した研究の具体的な内容について、職員の方々からご説明をお伺いすることができました。
その後、尾張藩の森林利用に関する古文書・絵図も実際に拝見することができ、江戸時代における林野利用・規制の状況を、より深く学ぶことができました。
徳川林政史研究所の皆さんには大変お世話になりました。
ありがとうございました。 (h)
公益財団法人徳川黎明会 徳川林政史研究所Webサイトはこちらです。
https://rinseishi.tokugawa.or.jp/
森林政策学演習(11/22-23)実施しました:) [講義]
2022年11月22日~23日に、山梨県富士吉田市・南都留郡道志村で森林政策学演習を行いました。
初日は、富士吉田市で羽田さんや、ふじさんジビエ・鹿邦を経営されている勝俣さんご夫妻に、羽田さんが設立に尽力された山梨県猟友会青年部の活動や猟場の変遷、鳥獣被害対策における補助金制度の功罪、狩猟の楽しみや命を頂くことに関する心構え、ジビエ加工施設の稼働状況や作業工程、ジビエ肉などの流通経路など、幅広くお話を伺うことができました。
またジビエ加工施設も見学会のため特別にオープンしていただき、外側から内部の様子の一部を拝見させていただきました。お昼には、シカ肉カレー&シカ肉ウインナーを美味しくいただきました。
野生生物という山からの「恵み」を持続的に享受するために「人づくり」がいかに重要であるか、学ぶことができました。
二日目は、あいにく小雨が降る天候でしたが、リトル・トリ―代表取締役の大野さんの案内で、大野さん自らが森林経営計画を策定した道志村内の林分に入り、間伐現場や、マウンテンバイクコースを歩きました。
さらに、道志の湯と呼ばれる温浴施設に導入されている国産バイオマスボイラー施設や、同施設に燃料を供給する「木の駅どうし」も見学することができました。
エネルギー価格が高騰する中での、木質バイオマス利用の可能性がさらに広がりつつあることや、山村住民の高齢化が進む中で持続的な燃材供給システムを構築することの必要性を学ぶことができました。
二日間、関係者の皆さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。
初日は、富士吉田市で羽田さんや、ふじさんジビエ・鹿邦を経営されている勝俣さんご夫妻に、羽田さんが設立に尽力された山梨県猟友会青年部の活動や猟場の変遷、鳥獣被害対策における補助金制度の功罪、狩猟の楽しみや命を頂くことに関する心構え、ジビエ加工施設の稼働状況や作業工程、ジビエ肉などの流通経路など、幅広くお話を伺うことができました。
またジビエ加工施設も見学会のため特別にオープンしていただき、外側から内部の様子の一部を拝見させていただきました。お昼には、シカ肉カレー&シカ肉ウインナーを美味しくいただきました。
野生生物という山からの「恵み」を持続的に享受するために「人づくり」がいかに重要であるか、学ぶことができました。
二日目は、あいにく小雨が降る天候でしたが、リトル・トリ―代表取締役の大野さんの案内で、大野さん自らが森林経営計画を策定した道志村内の林分に入り、間伐現場や、マウンテンバイクコースを歩きました。
さらに、道志の湯と呼ばれる温浴施設に導入されている国産バイオマスボイラー施設や、同施設に燃料を供給する「木の駅どうし」も見学することができました。
エネルギー価格が高騰する中での、木質バイオマス利用の可能性がさらに広がりつつあることや、山村住民の高齢化が進む中で持続的な燃材供給システムを構築することの必要性を学ぶことができました。
二日間、関係者の皆さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。